2020/04/08
舞台は1959年ルイジアナ。三浦春馬が演じるのは、脱獄した一人の「男(ザ・マン)」。 命からがら、ある納屋に身を潜めた男を、偶然見つけたのは少女スワロー(生田絵梨花さん)。彼女は男をイエス・キリストの生まれ変わりだと信じ、「死んだお母さんにもう一度会いたい」とお願いします。
平間壮一が演じるエイモスは、いつもバイクに乗って颯爽と登場します。 キャンディ(MARIA-Eさん)というガールフレンドがいながらも、幼馴染のスワローに想いを寄せ、ちょっぴり悪な一面もありつつ、時に危ない橋を渡ってしまう役どころです。
自らの葛藤や想いを歌に乗せる男。 その表情は、いかにも罪人だと感じさせる猟奇的な表情から、どこか寂し気なものまで、次々と変わっていき、同様に歌声も、時に激しく、時に切なく歌い上げ、男の不安定な感情が伝わってきます。
夢や希望を抱き、今の街に不満を持つエイモス。キャンディと一緒に街を出ていくことを約束します。 そんな想いを持つ、エイモスとキャンディがバイクに乗りながら歌うシーンでは、2人の掛け合いとハーモニーが力強く重なります。
男が納屋に隠れているのは、スワローの兄弟姉妹を始めとする子ども達だけの秘密。 そんな街の子ども達を演じているのは、奈緒美クレール。
そして日髙麻鈴です。 キャストの登場と同時に曲調がガラッと変わるのも本作の見どころ。 子ども達が歌うシーンは、ポップで明るい曲調の楽曲に変わり、子ども達の掛け合いによって紡がれる歌は希望に溢れたパワーを感じさせます。奈緒美クレールと日髙もフレッシュな歌声を響かせていました。
こんな風に2人が顔を見合わせながら笑顔で歌うシーンも。
男をイエス・キリストの生まれ変わりだと信じる子ども達の前で、お話を聞かせる男。 時に優しく、時に猟奇的な表情を見せ、緩急のついた話し方で、子ども達をお話の世界へと引き込んでいきますが、囚人だと知る私達は、その二面性を強く感じるシーンでもあります。
そんな男に対し、純粋な心で接する子ども達。
本作の印象的なシーンの1つが、男、スワロー、エイモスの3人が掛け合いながら歌うシーン。
ステージ全体を使い、3人がそれぞれの思惑や心情を歌うこのシーンは、その光景と音楽が強く印象に残ります。
男に追手が迫る中、最後まで男の事を信じるスワロー。 そんなスワローによって、男の心は徐々に浄化されていくように見えますが、自分はイエス・キリストの生まれ変わりなんかではなく、囚人であるという葛藤に思い悩み、その想いは歌に乗せられます。 激しいパーカッションとブラス、そして切なさを感じさせるフルートやストリングスの音色に、1曲の中で様々な表情を見せる三浦の歌声が重なり、囚人の役でありながらもどんどん引き込まれていきました。