
質問やイラストへのご応募、ありがとうございました!
皆様からいただいた内容をもとに、
ミュージカル『オリバー!』編の
振り返りスペシャルぺージが完成!
作品を思い出しながら、
ぜひチェックしてくださいね♪
それでは、SONIM’s Review Factory
ミュージカル『オリバー!』編、
スタートです!
ミュージカル『オリバー!』一問一答!
Q1.ナンシーの死は、オリバーという作品においてどのような意味があったと思いますか? (ラスト死んでしまったのがすごい悲しくて、観た後一週間程引き摺りました笑)
そうですね…私も台本でその下りを読んだ時、本当に気分が沈みました。何せ前の作品が幸せいっぱいだったので、その差が激しすぎて。観にきてくれた知人も多くが、衝撃的だったと口にしていました。演出家の稽古初日の話を聞く限り、あれがリアリティだったのではと。人の中身は見た目でわからない(階級は関係ない。上流の悪者も原作に出てきます)のに、結局、階級の底辺が犠牲になっていく。精神的にも侵されたまま負の連鎖の中で生きる権利しか与えられていないような。
ミュージカル版脚本&音楽作者のライオネル・バートも、アメリカミュージカルのようにうまく纏まったり、ハッピーエンドで終わるのが嫌いでミュージカルでもこういった結末構成にしたのだとか。(ちなみに原作はフェイギンの最期も描かれていてもっと残酷です)
この先の未来がこういった事を繰り返さないためにも、この差の矛盾を世間に訴え、オリバーのように、ギャング団含む子供達の未来が明るくなりますようにという希望が込められているのではと個人的には思います。(オリバーは助かり結局、上流階級が報われるという皮肉も描かれていると思います)
善意を起こしたナンシーですら殺される(犠牲者が犠牲者を殺してしまう状況下)その悲惨さを衝撃的に見せるためでもあるのかなと。ちなみに、あのシーン、実は、すごく段取りがシビアなんです!怖いというよりそれが毎回責任重大で気が抜けなかったです。
Q2.ナンシーの衣装がお似合いで大好きです!あのスカートがとてもボリュームあって重そうに見えます。実際はどうですか?結構回ったり激しく動かれる振付もあったと思いますが、ふられないですか?体力作りとかしましたか?
重いです!最初は本当に固くて中々捌きづらかったですが、せっかくボリュームあるスカートなので、ウンパッパでは特にスカートを使ってダンスする動きを敢えて多く入れました。ウンパッパを最初稽古場で通してやった時、曲自体ブレスの箇所がないのと割と動いてるのもあって、息がゼエゼエしていたので、「これじゃ衣装着たらもっとブレス荒いのがマイクに乗っちゃう!」と思って、HIITで体力作りしました(笑)あとは、ビスチェも固く伸びない生地なので、呼吸が入るようブカブカにして後ろ締めてもらってます。生地の硬さゆえか、表面に付いているボタンがポロッと舞台上に落ちてしまい粉砕されちゃったので、途中からあのボタン一個少なくなってるんです。これは世界中のナンシーあるあるらしいです。
Q3.オリバーを誘拐した後戻ってきたとこのソニンさんがカッコよく、同時に母性も感じて、あそこのシーンで涙が出るほど感動してしまいます。オリバーをビルから守ろうとして、自分の生い立ちを語ったりするとこや、ソニンナンシーは最後、逃げるとき、飛ばされるギャングの子供達を心配しながらの階段登っているのを発見した時、何とも言えない感情にもなりました。あそこはアクションもあるし難しかったですか?
そうですね、最初は、アクションから決めていきました。それよりも、前のシーンでオリバーを取り戻すのをビルに促され、それで奪回したのに、すぐ罪悪感に苛まれ、本能的に守ろうとしてどんどんヒステリー起こしていくという流れの方が、難しかったかもしれません。なので、とにかくそこは思考の展開のスピードをあげ、コントロールできない感情の起伏が激しいシーンになるよう努めました。どんどんメッセージの趣旨が変わっていくシーンでもあるので。結構ここ情報量多いんですよ。実はこのシーン一番息切らしてるかも(笑)
私の中で、オリバーを最初に見た時から、何か違うと感じてはいたものの、オリバーが特別すぎるからこそあの行動を起こしたというより、今までのギャング団の子供達を見てきての積もった上での“アレ“だったのかと。だから『この子は今日から嘘つきで泥棒の悪者になる』というセリフは、私にとっては、ギャング団みんなに重ねての思いも含まれてて。今迄、ギャング団みんなに対しても色んな思いがありながら仕方ない、こんな世の中だからどうしようもない、と何度も似たような状況を繰り返してきた。(自分も含む。)だけどオリバーはその可能性があるなら、これから未来を担う子供たちの社会の犠牲者を増やしたくない、と。オリバーだけが特別じゃない、だからこそ、あのシーンで少なくともそう見えない工夫として、ギャング団のことも気にかけている要素も入れていました。様々なことが同時に行われているので、過多にならぬよう、さりげない事でしか出来ない域でしたが、少しでも何かを感じ取って頂けていたなら、嬉しいです。
Q4.「オリバー!」では、たくさんの子ども達が出演されていて、ナンシーであるソニンちゃんとの信頼関係が築かれているのが、とてもよくわかります。 ソニンちゃんが子ども達とどのようにして仲良くなったか、コミュニケーションの取り方などをぜひぜひ聞いてみたいです!
同じ人間として対等に接して、そして1人1人を尊重する。今回沢山のお子達と接したおかげで、3~4人の話を同時に聞いて相手するという聖徳太子のような特技を身につけました(笑)大体子供って同時に話すよね(笑)あとは、媚びずにフラットでいる事も意識しました。そうすると、それぞれの性格も見えてきて、途中からはそれぞれに合わせてコミュニケーションの取り方も工夫もしましたね。
芝居のことに関しては、与えすぎず、傷付かないでやる気になれるように、そして自信を持ってやってもらえるように気をつけました。大人のように複雑な思考でなく、とっても敏感で素直だし、あとは自分の価値と居場所を感じて欲しかったので、子供達と触れ合う唯一のシーン“It’s a fine life”では、振り付けで触れる子達が決まっていますが、そのほかのフリー箇所を使って、その他の全員に触れるように作りました。大人は大人の役割があり、子供達には子供達の(この中でも年齢によって違う)役割がある。それを踏まえて、尊重と思いやりを持ってコミュニケーションを取るようにしていました。基本的にみんな才能溢れて出来過ぎなほど良い子だから、愛おしすぎて自制心のリミット外れそうなことは何度もありましたが(笑)距離感近過ぎないようにも気を使いましたね。終わった今では、お家に呼んでご飯食べさせてあげたり、アミューズメントパーク連れてってあげたい気持ち。もう勝手に親の気持ちですよ。
Q5.ウンパッパ歌い出す前のアドリブ台詞が違う事に数回リピしたとき気づきました!あそこは演出の指示でその日の気分でという事だったんでしょうか?今日は何を言うのかなと楽しみでした!
Bumpという音楽が繰り返される中で、切れ目で歌い出すタイミングを指揮者に知らせるためのきっかけの決め台詞があるのですが、その間を埋めるための芝居として、アドリブを稽古時から勝手にしていました。本番始まってから、毎日、2公演が続いたりするアンサンブルの皆さん(モニター聞いてるスタッフさんにも)が、毎回違うアドリブ台詞を入れたら、新鮮に、そして楽しんで頂けるかなと思い、やり始めました。リアルにも劇中にもそのシチュエーションにも通ずる台詞を選んで、その日のフレッシュな事を考えていました。ウンパッパはこの時代まともな生活できない人達の溜まり場であり、お酒飲んで憂さを晴らすシーンであるので、とにかく熱量が必要で、最初は嫌々と言いながらも、盛り上げるために自ら「ウンパッパ」な事もやってみせてみんなのテンションを上げるという演出にも通ずるので、私の中ではそのアドリブもそれに反応するキャストの方々も(ちなみに何言うかは種明かしせずぶっつけ)歌の中で徐々に崩れて騒いでいくのも、本当に楽しくて、大好きなシーンになりました!
Q6.ナンシーにはビルしかいないとナンシー自身が感じているのですが、しっかり慕ってくれているベットがいました。ナンシーと、ベットの関係性はソニンさんの中ではどのような設定をされていたのでしょうか?
実はですね、ベットは子供なんですよ。14歳くらい。だから、正直ギャング団の子供達と似たような感覚の関係性でもありますが、何が違うかというと、性別。ベットは娼婦のような仕事も既にやらされていたということもあり、ナンシーが色々教えたと思うんですね。本題ですが、私がなぜこの質問を選んだかというと…演出家が話していた事を思い出したんですね…「なぜこの集団に、女性が、ナンシーとベットしかいないのか」。実はこの題、フェイギンは女を使った行為に対応するのが苦手、という話から、この集団も女がベット以降いないよね、という話に。おそらく女を手の内にするのが面倒くさいし難しいと悟ったから、もう女はスカウトしないようにしたんじゃないか説。原因はナンシーかな?(笑)だから、子供たちみんな男の子でしょ?この話、結構色々深い気がします。あと、フェイギンが深いんですよね…当時のユダヤ人種の立場や特徴もあって、時代を本当に反映しているキャラクター達だらけです、『オリバー!』は。
Q7.ソニンさんのナンシーはとにかく強く生きている印象で、見ているお客さん含めフェイギンやビル、子供たち見ている人全員に「これが私だ!!」と訴えているように感じました。そこで、ソニンさんがナンシーを演じるうえで大切にしていたことを教えて頂きたいです!。
まず、プログラムなどに書かれている通り、この作品は、ディケンズがこの時代の社会に起こっている矛盾(救貧法など)のプロテストで書きました。そして、このミュージカル版では、主に子供と大人の物語が展開されていますが、“大人(フェイギン、ナンシー、ビルたち)は、この世の中の犠牲者であり、ギャング団の子供たちの行く末(このままだったら)のメッセージ“とも捉えてて。それでもナンシーは、自分を被害者と思わず、すごくポジティブに生きている女性だと演出家からも言われました。例えば、ソロの“As Long As He Needs Me”は世の中に対してへの怒りであってほしい、決して悲しみを謳っている訳ではないと。世間に『あなたに私のこと変な目で見る権利ない!』という中指立てる気持ちでと言われました。“あなた達には私たちのこと理解できないでしょうけど、あなたが同じ立場になったらわかるわ、彼に必要とされたら愛するし、私も求めるの“と英語詞には書かれています(意訳含む)。なので、根強い意志と、自分を悲観的に思わない彼女の強さは、特にこの曲は意識しました。そのまま歌ってしまうと前のシチュエーション的にも悲しく弱くなりがちなので。泣きそうでも“絶対泣かない“といつも意識していました。「涙は見せない」という日本語歌詞は意訳であり、英語詞ではありません。なので涙を見せちゃいけないというより、“泣き”に入らない。(私は、裏では泣いてる人だとは思ってるので。原作ではナンシーが泣くシーンも多い)
そういった事がベースなのでそう見えたのかも?
ナンシーはディケンズのプロテストの意を大いに表現しているキャラクターだし、階級底辺の人は中身も悪に染まっているわけではないという象徴の人でもあると思います。
Q8.ブラウンロウさんにオリバーの事を伝えにきた時、ソニンナンシーは何か病んでいるような、前のビルからオリバーを守って殴られ追っかけられるシーンからの変化を感じました。何かその間にあったのでしょうか。
まさに、その話を演出家が稽古の際そのシーンを作るときに話していました。そこを自分で考えてね、と。ここのシーンに限らず、このミュージカル版では、省かれている部分も多く、それをうまくどこかで補って伝えることもなかなか難しい点が多々あります。原作のここに値するシーン、実は、相手がブラウンロウさんじゃなく、別の女性(ミュージカル版では登場しない)なのです。演出家にも言われましたが、このシーンは、上流階級と労働階級の底辺との対峙だと。原作では女同士だからこそそこの差が切なく描かれています。私は原作のこの章泣きましたね。ミュージカル版でも、階級の違いを屈辱的に感じながらも、自分のプライドを強く持っているという表現も必要とされました。屈辱や隠蔽(ビルにとっては後に裏切りに思われる)を持ってしても、彼女はオリバーを助けてあげたいという方を選択し、たくさん迷いながらも、その場に来るわけです。実は、原作では話をした上流階級の方と、自分とビルのこれからの生活も約束しているのです。ミュージカル版では一切触れられていませんが。(もしこの先改訂があるなら是非入れていただきたい笑)様々な葛藤もありながらも、“ただビルを怖がっているだけでもなく裏切り行為を行なっている意識でもない”という要素として、彼を何とかしようとするブラウンロウさんの発言に対して、全力で止めるという表現など、この短いシーンでも繊細な意味や思いを起伏出して込めた、とても大切にしているシーンでした。
Q9.ソニンさんのナンシーが、ソロの歌い終わりにお祈りをするようなポーズをされて歌が終わるのが大好きでした。 あれは、やはり原作のナンシーの最期をイメージされていたのでしょうか?
うわぁ!そうです!気づいてくださった方がいらしたなんて!原作のナンシーは最期にハンカチを掲げてビルに命乞いするのです。(ちなみにそれはオリバーのことを告げに行った上流階級の女性に頂いたもの)それをどうにか生かせないかと考えた時、ナンシーの唯一の小道具、ストールを使おうと思いました。橋の上で見辛い姿勢(横になっている)なので見えてなかったかも知れませんが、実は最後殴られる瞬間ストールをビルに向けて掲げていました。で、その意味合いとして、このストールをビルにもらった(ま、盗んだんだんでしょうけど)という裏設定にすればと思い、その前の、ソロ曲リプライズで、ストールを少し印象的に使いたく、歌い終わりのポーズを、同じ最後掲げるポーズに近くするため、リプライズの感情の方向と合わせて、そういった仕草にしていました。 メインソロ曲と、このリプライズの違いも求められていたため、(オーディションでは2曲とも歌わされたほど。違う曲だと。)感情や声色だけでなく色々変化ももたらしたかったのもあります。(リプライズとの違いの質問も沢山頂きました)
Q10.周りから慕われる環境にいるナンシーが、なぜビルのような男性 から逃れられないのか、離れようとしないのか、愛してしまうの か、情か、執着か、洗脳か、ナンシーのビルへの愛情とは、、と 色々と考えを巡らせるも、ナンシーのビルへの愛情、感情がどう いうものか言葉では結論付けられず、それでもソニンナンシーの 歌う”彼に必要とされる限り“で腑に落ちるという不思議な感覚を何 度も味わっては涙が溢れました。 ナンシーがビルへ持つ感情をどのように考え演じられていたの か、ということを教えていただけたら嬉しいです。!
これは、観た方の多くが、ナンシーはなぜあんな男をそこまで愛するのか、理解しづらいのではと思います。(実際そういう質問が多かったです)もちろん元々の台詞や歌詞の情報量の少なさ、そして日本版にした時の弱点もあると思いますが…理解できなくて正解なんだと思います。だって、彼女の状況下になったことないんだから。その目こそが、この作品が訴えていることなので。今に置き換えるとDVから抜けられない女という風に見えたりそういう風に片付くと思いますが、私はもっと厳しい世界で生きている彼女の“人生そのものでしかない”と思っています。依存しているとかしていないとか、別れられるのかそうでないのか、そんな選択肢もないのだと思いますね。だって、孤児で育って6歳くらいの頃からフェイギンにスリや身売り(これはいつからなのか明記はない)をさせられあの世界で、そこにいたビルと共にずっと生きてきたんですもの。 あの脚本と演出の中で、この2人の関係性はなかなか共感するまでのところまでは含まれていないと思っていて、それはこの2人の話ではないのでそれで良いのかも知れません。この2人の物語だけで一作品できるような関係性だから魅力的にも感じるのかも。 演じる側の私としては、ビルをどう思っているかという事に着目せず、彼女自身が彼とどう出会って今までどんな事があってどうやって共に生きてきたのか、というのを大切にしてたかも知れません。そういった意味でも、ビル演じた2人は結構昔から知っていて何度か共演しているお2人で、間柄に歴史があって、時間を埋めるという難しい作業がなくて良かったですね。2人とも人間としても役者としても違うタイプでしたので、バランス含め違うアプローチで芝居を組み立ててカップルできて楽しかったです。
「様々なものを失った人には、愛しか残らない」それを、ナンシーに通じていると再認識させられたのは、ある方に、“As Long As He Needs Me reprise”をモニターから耳で聞いてるだけで、聖母マリアのような愛を感じて涙が出てくると言われた時です。
無意識に、私はそう答えていました。
稽古の時から感じていた彼女の真髄はここにあるのでは、と。それは一見綺麗なものでなくても、本人にしか分からない、そして究極の人にしか持っていない形なのだろうと。愛を信じ、愛を貫き、愛を残していったナンシーという役を演じられて本当に光栄でした。
ミュージカル『オリバー!』イラスト企画 結果発表!
この度もご応募ありがとうございました!
オフィシャルで出されている舞台写真も少なかったし、我々もオフショットで扮装写真を載せられないので、情報量が限られたなかで描いて頂き感謝です!今回はこの方を特別賞に選ばせて頂きました。(ソニン)


【SONIM’s comments】
ナンシーの明るい表情だらけで、登場人物との愛に触れてる瞬間を切り取っているのが素敵で、選ばせていただきました!ブルズアイが居るのもお気に入り♡
ミュージカル『オリバー!』ナンシーのメイクムービー公開!
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